アグニの火について考える

アーユルヴェーダでは『消化』・『代謝』の働きを『アグニ』と呼び、体に影響を与える全てのものを消化・吸収して最後に排出する力のことを指します。そのためアグニは『消化の火』と呼ばれています。

アグニの働きをわかりやすく考えるには消化と聞いてまず思いつく『食事』をした場合を例に考えるのが良いと思います。

ダートゥとマラ

アーユルヴェーダでは食事をすると7つのステップで体内に消化・吸収されると考えられています。栄養素が体を構成するものを作っていく順番のようなイメージと言えるでしょう。消化・吸収していく際に働くのがアグニです。ここで面白いのは『マラ(老廃物)』が私たちがイメージするような不要の物だけではなく、消化・吸収のステップの間で生み出されるもので『マラ』を正常に作り出すこともアグニの重要な働きなのです。

アグニの力がしっかりと働けば『綺麗な肌』・『艶やかな髪』が維持できるのです。このアグニがしっかり働くことで生み出される健康的な活力を『オージャス』と言います。

オージャス(活力)はラサ・ラクタ・マーンサ・メーダ・アスティ・マッジャー・シュクラの各ステップで生成され最後に心臓で蓄積されます。アグニは『火』の元素なのでドーシャでは『ピッタ』とされます。火の力に影響を与えるのは『風と空』の元素の『ヴァータ』です。炎に適切な量の酸素を送り込んで火力を調整するイメージですね。

アグニの火が強すぎれば栄養素は途中で燃え尽きてしまい吸収できない焦げた『灰』になってしまいダートゥの流れから外れてしまいます。逆にアグニの火が弱すぎれば栄養素は最後まで消化・吸収できない『生』のままになります。このようにアグニの火が乱れることで食べた栄養素が吸収できない『灰』や『生』の状態で体内に残されたものを『アーマ(未消化物・毒素)』と言います。

こうして『アグニに影響を与えるドーシャ』の働きは、もちろん自分のドーシャタイプにも連動するので人それぞれ異なります。そのためアーユルヴェーダでは自分のドーシャを知ることが非常に重要なのです。そして多くなりすぎたドーシャを『鎮静』したり、溜まったアーマを『浄化』したりする治療を組み合わせることでアグニの火がしっかりと働く体を目指すのです。

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